レンタルサーバーとは?種類と特徴、できることについても解説

レンタルサーバーのサービスは、自分のWebサイトやサービスなどを設置する場所を提供するものです。しかし一口にレンタルサーバーといっても2種類あり、さらに類似サービスもあります。

ここでは、レンタルサーバーを検討している方に向けて、種類と特徴を解説するとともに、おすすめの用途についても触れていきます。

レンタルサーバーとは?

レンタルサーバーは、文字通りサーバーをレンタルして使えるようにするサービスです。このサーバーは物理的に企業のデータセンターなどにおいてあり、きちんと温度や湿度などが管理されたものになります。

例えばWebサイトを立ち上げたいと思った際、インターネットに常時接続したサーバーが必要になります。常時接続+常時立ち上げっぱなしのサーバーを自宅に作ることも可能ですが、電気代や管理などの面で不都合な場合も多くあります。

こうした場合のため、データセンターできちんと管理されたサーバーを提供しているのがレンタルサーバーのサービスです。

レンタルサーバーが必要となる場面


レンタルサーバーを利用する場面は多くあります。例えば

・Webサイトの運営がしたい
・インターネットショップの運営がしたい
・メールアドレスを作りたい
・Webでアクセスできるファイル置き場がほしい

などが挙げられます。

例えば、Webサイトやインターネットショップを運営したい場合、2021年現在ではSaaSのサービスなどもありますが、レンタルサーバーを借りて自社で展開するというのは十分候補になります。

また、自社ドメインでメールアドレスを作って運用することもできます。多くの場合管理画面上からメールアドレスの追加削除などができるので、簡単に管理、運用することが可能です。

レンタルサーバーを契約し、借りた保存領域をWebでアクセスできるファイル置き場として使う場合もあります。自分のPC内に保存するのではなくWeb上に保存することになるため、セキュリティについては考慮する必要があるものの、動画をアップして友達と共有したり、家族の写真を保存して家族内でのみ公開したりといったことも可能になります。

レンタルサーバーの種類と特徴、できること

レンタルサーバーは大きく2つにわかれます。またレンタルサーバーと類似するサービスとしてVPSやクラウドなどもあります。

ここでは、これらの種類と特徴、できることなどをまとめて紹介してきます。

共用レンタルサーバー

共用レンタルサーバーは、一番安く契約することが可能なサーバーです。

文字通り一つのレンタルサーバーを共用する形になるため、1台分のコストを複数人で分割することができる=安い理由となります。

共用レンタルサーバーの特徴

第一に「安い」ということが挙げられます。スペック次第では100円程度から借りることができるため、とにかくコストをかけたくない場合、まずは共用レンタルサーバーが候補となります。

また安いからといってスペックが犠牲になりにくいのも特徴です。料金の割にはディスク容量やCPUスペックなどが良い場合も多く、コスパという観点でも良好です。

一方で、1台のサーバーを複数人で分割しているため、相乗りしている別の人が大量にアクセスを集めてしまうと一時的にサーバー全体が重たくなってしまうといった問題もあります。多くの場合、サーバー管理会社のほうできちんと管理しているため、すぐに復旧しますが、共用レンタルサーバーの特徴の一つとして覚えておいてください。

また、共用レンタルサーバーでは、管理者権限を持てないことが多いため、必要なライブラリがインストールできない場合もあります。ライブラリのバージョンを更新してしまうと、同じサーバーを利用している他の利用者に影響が出てしまうこともあるためです。

こうした特徴がありつつも、とにかく利用料が安い共用レンタルサーバーは、現在も多くの場面で活躍しています。

なお、共用レンタルサーバーについては、おすすめのサービスを比較した記事もありますので、こちらも合わせてご確認ください。
【レンタルサーバー比較2021】現役CTOがおすすめするレンタルサーバー4選

専用レンタルサーバー

一方で専用サーバーは、1台のサーバーを自社で占有できる契約です。

専用レンタルサーバーには、管理者権限があるものとないものがあります。管理者権限がないものは、共用レンタルサーバーの延長線上でサーバーのスペックをフルに使えるものになります。一方、管理者権限がもらえるものは、共用レンタルサーバー以上のことができるため、専用レンタルサーバーというと、多くの場合こちらを指します。

専用レンタルサーバーの特徴

専用レンタルサーバーは、共用レンタルサーバーの多くのデメリットを解消できます。例えば管理者権限が渡される場合、自分で必要なライブラリを管理、更新することが可能です。

また、相乗りしている人がいないため、第三者のサービスが原因でサーバーが重たくなるなどのリスクもありません。

一方で、共用していない分コストは高めとなります。また、セキュリティや監視などは自分で行う必要がありますので、契約以外にもコストがかかる場合があります。

VPS(Virtual Private Server)

レンタルサーバーとは似て非なるものの一つにVPSというのがあります。

VPSはレンタルサーバー同様、サーバーをレンタルすることになりますが、レンタルするものは物理的なサーバーではなく、仮想サーバーになります。

VPSのVはVirtual=仮想化となり、実際に物理的なサーバーが一台あって、それを割り当てられるわけではありません。実際には1台のサーバーを複数に分割してVPSを複数立ち上げる形になります。そのため共用レンタルサーバーと似たようなものとも言えます。

一方で共用レンタルサーバーと違い分割したそれぞれの区域にOSをインストールするため、自由度が高いという魅力があります。

VPSの特徴

VPSの特徴の一つに安さがあります。仕組みが共用レンタルサーバーに似ていることもあり、共用レンタルサーバーと負けず劣らずのコストで契約できます。

しかしVPSの管理はすべて契約者に任されます。専用レンタルサーバー同様、ライブラリのバージョンやセキュリティなど、契約者がきちんと把握して管理することが求められるので、相応に知識がないと運用は難しいでしょう。

エンジニアが使う場合、個人用途ではVPSを利用する場合が多いかもしれません。コスパと自由度に優れるVPSは、管理方法さえしっかりしていればレンタルサーバー以上にさまざまな場面で活躍できます。

クラウド

最後にクラウドについても紹介しておきます。クラウドはここまで紹介した3つとは違い、契約時にサーバーを1台といった形で契約するものではありません。その代わりに、1CPU+2GBのメモリ+64GBのディスク、といった形でリソースを指定して契約するものになります。

これは、クラウドの裏に大量のサーバーが動いており、それを統合して巨大なサーバーシステム(クラウド)として認識させた上で、その一部を貸し出す、といった形態をとっているためです。

クラウドの特徴

上記の通りクラウドは大きなシステムの一部を切り出して借りるような形で契約するため、専用レンタルサーバーやVPSのように管理者権限をもつことが可能です。またリソースを指定して借りるため、特別な場合を除いて他のユーザーと干渉することもありません。

これ以外に、クラウドならではの特徴として、不足したら追加で借りることができる、というものが挙げられます。

例えば共用レンタルサーバーで運営していたが、サービスを利用するユーザーが増えてきたためサーバーを強化したい、となった場合、基本的にはグレードの高い共用レンタルサーバーを新しく借りて載せ替える必要があります。これは専用レンタルサーバーやVPSでも同じことが言えます。

しかしクラウドの場合、そもそも巨大なシステムの一部を借りている状態のため、不足したら領域やリソースを管理画面上で追加することが可能です。例えば記事がバズってアクセスが集中している場合、一時的に契約内容を強化して対応することも可能です。

このようにクラウドは自由度も高く柔軟性も高いサービスですが、一方で、ここで紹介した中では一番費用がかかるサーバーになります。そのため、ある程度最初から拡大が見込まれるようなサービスやシステムをクラウドに乗せていくのが良いでしょう。

レンタルサーバーはこんな人におすすめ

ここまで紹介してきた通り、レンタルサーバーおよびその類似サービスは大きく4つに別れます。では、実際自分はどれを使えばいいのでしょうか?

ここからは、場面に応じたおすすめのサーバーについてご紹介します。

スモールスタートだが将来的に大規模なシステムに育てたい場合

VPSがおすすめです。例えばさくらインターネットのVPSプランでは、VPS>クラウドへの移行がスムーズになる仕組みもあります。

当初は自由度が高くコスパの良いVPSで運用しつつ、規模拡大のタイミングでクラウドに載せ替えるとスムーズです。

コーポレートサイトを運用したい

共用レンタルサーバーがおすすめです。コーポレートサイトの多くはそこまでアクセスが爆発することのないものです。こうしたサイトにクラウドはオーバースペックになりやすいため、特に中小企業でとりあえずコーポレートサイト作ろう、という場合は共用レンタルサーバーを選択しましょう。

自社ブログを運営したい

こちらも共用レンタルサーバーがおすすめです。多くのブログで利用されているWordPressを簡単にインストールする仕組みが最初から入っている場合も多く、簡単に運営していこうと思う場合、共用レンタルサーバーが第一候補となります。

アプリの裏側のシステムを開発したい

VPSもしくはクラウドがよいでしょう。アプリはWebサービス以上にいつアクセスが爆発するかわからないということもあり、予算が許せば最初からクラウドがよい場合も多いです。

一方でクラウドの多くは転送量が従量課金のため、思ったよりコストが行ってしまう場合もあります。まずはコスパという場合はVPSを選択するのも十分選択肢となります。

Webサイトの制作を依頼されたが将来サーバーごと引き渡す可能性がある

共用レンタルサーバーがよいでしょう。今回ご紹介した4つのうち、もっとも運用コストが低いのが共用レンタルサーバーです。開発段階では問題がなかったとしても、引き渡すタイミングでクラウドやVPSの場合、操作の方法から説明する必要がある可能性もあります。

その点共用レンタルサーバーであれば、クライアントにエンジニアがいなくても対応できる部分が多いため、スムーズに引き継ぎが可能になります。

大規模サービスを展開したい

最初から大規模サービスを狙う場合、後々の移行コストなどを考えると最初からクラウドで運用するのがよいでしょう。

VPSで運用するのももちろんよいのですが、いずれにせよ移管コストは発生します。すぐに移管しなければならない場合、無駄なコストとなりかねないため、クラウドを選択してみてはいかがでしょうか。

実例紹介 – VPS > クラウドの例

ちなみに、私は現在50万DLされたアプリを運営していますが、これを以前はVPSを2台体制で運営していました。この体制でギリギリ安定して捌けていたのですが、ある日アプリがテレビで紹介されることになり、急遽これをクラウドに載せ替える決断をします。

その結果、テレビによるアクセス負荷には耐えることができたものの、運用コストは約2倍となってしまいました。一方でVPSで運用していた際はデータベースの管理(ディスクがフルにならないか、バックアップがちゃんと取れているのかなど)もかなり煩雑だったものから、クラウドになってすべて解放されたため、実費コストは高くつきましたが結果は満足しています。

もしアプリのバックグラウンドとしてサーバーをご検討中の場合、参考になれば幸いです。

最後に

ここまでレンタルサーバーについて紹介してきましたが、最後はVPSとクラウドの事例になってしまいました。これは、レンタルサーバー(特に共用)が簡単に利用できる反面、エンジニアが色々と使い倒したいという場面では自由度が足らないため、どうしてもVPSかクラウドを選択してしまうことに由来します。

サーバーを選択する際は、実費で出ていくコストだけでなく、運用する人はだれなのか、サイトやサービスの規模が拡大した時どうするのか、なども考慮してみてください。

VPSやクラウドが難しい…という場合、おすすめのレンタルサーバーを比較記事もあります。こちらも是非参考にしてみてください。
【レンタルサーバー比較2021】現役CTOがおすすめするレンタルサーバー4選


この記事の執筆者

jakkrokk(Yoshifumi Yamazaki)

執行役員 CTO
株式会社CSK(現株式会社SCSK)にて保守運用マネージャとして活躍後、独学でプログラミングおよびSEOを学び、サクラサクマーケティングの前身である株式会社ブルトアに入社。

SEOの知識と技術力を生かして主にSEOにおけるツール開発、R&Dなどを進め、中核事業に成長させる。

現在はエンジニア以外にシステム運用チーム、コンテンツマーケティングチームも合わせて取りまとめ、プロダクト全般を統括中。
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